【河合美智子の但馬漫遊記】自然そのまま「高原植物園」

2022/08/30 05:30

藤原博文さん(右)と河合美智子さん

 たじま高原植物園(兵庫県香美町村岡区)の藤原博文さん(62)は愉快な人だ。 関連ニュース <河合美智子の但馬漫遊記>生野銀山の歴史、肌で感じ 「かなしきデブ猫ちゃん」、出版記念し4月22日に神戸でイベント 神戸新聞連載の創作童話 【河合美智子の但馬漫遊記】大工歴50年、棟梁の神業

 「腰に差した道具カッコイイですね」と話しかけると、ふいにポーズを決め、ゆっくりノコギリを抜き、まるで黒澤映画のような殺陣(たて)を披露してくれた。顔立ちもどこか三船敏郎さんに似ている。しかも声が渋い。
 聞けば藤原さん、ここを造った人だという。前職は旧村岡町役場の企画課で建設事業に携わっていたそうだ。さらに余部鉄橋の保存と新橋架け替えにも尽力されたらしい。「プロジェクトX」が2本分作れるほどの経験をされている。面白い!
 たじま高原植物園は1997年、日量5千トンの湧水と樹齢千年以上の大カツラの保護をテーマに設立された。宝塚から2週間ごとに娘さんとやってくる老婦人は、日が暮れるまで庭園のベンチで読書しているそうだ。都会の喧噪(けんそう)から逃れ、ゆったりとした時間を過ごす。なんて贅沢(ぜいたく)だろう。敷地の半分以上で自然林をそのまま保護してあり、人の手が入っていないかのように自然に溶け込んだ絶妙な整備がされているところが素晴らしいのだ。
 しかし、建設当時は「山の中に植物園を作るなんてお前たちはアハーか! 絶対に失敗する」と言われ、大反対だったそうなのだが、続きはまた次の回で。
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