【連載】学校いま未来 第2部 先生が消えた日(5)関係性
2020/03/01 08:55
神戸市立東須磨小学校の教員が、無料通信アプリLINE(ライン)でつくっていたグループがいくつかある。
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そのグループ名の一つが「東須磨ゲス野郎」。メンバーは4人。加害教員A(34)とB(34)、それに被害側の男性教諭(25)と20代の男性Xだった。
AとBが赴任した2015年当時、東須磨小には若い男性教員がほとんどいなかった。17年、新人の男性教諭と男性の臨時講師Xが着任した。年代が近い4人は程なく打ち解け、飲み会を開いたり、一緒にラーメンを食べに行ったりするようになった。
写真や動画もラインで共有した。酒を飲んでいるのか、中には赤ら顔の男性教諭が、Aの自宅駐車場でXのマイカーにいたずらするような写真もある。
遊び友だちのような同僚関係。しかし、変貌する瞬間がある。
18年度、Aは自宅での宴会中、キムチ鍋のもとや焼き肉のたれなどを飲むよう男性教諭に求めた。
「飲まないとラインのグループに入れない」
実際、男性教諭とXは、理由なく何度もグループから外された。
◆
「驚く顔が見たかった」「突っ込んでほしかった」
弁護士による調査委員会に、Aが繰り返し動機を語った。Bも「悪ふざけ、じゃれ合い」のつもりだったと説明した。残る2人の加害教員CとDも「悪意はなかった」とする。
確かに調査委員会の報告書も、男性教諭が「公私にわたり、積極的に加害教員らと関係を築いていた側面がないわけではない」と指摘する。
しかし、こう続けている。「被害教員の心中を直接聞くにつけ、終始ふざけあって楽しんでいたわけではないと判断した」
なぜ、標的とされたのか。なぜ、エスカレートしたのか。男性教諭自身、「分からない」と代理人弁護士に胸の内を明かしている。
グループから外される。仕事がしにくくなる。ただそれを恐れ、理由なき嫌がらせに耐えた。
「加害側は加害の事実に気付かず、被害側は心情を隠しながら関係性を続けていく」。報告書は典型的ないじめの構造を説き、強調する。
「驚くべきことに、教員間にこのような関係性が築かれていた」(取材班)
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