中年のサラリーマン。勤務態度は真面目で、成績も悪くない。犯罪とは無縁のキャリアを歩んできた。企業のコンプライアンス(法令順守)が重視される世の中の流れも理解している。そんなどこにでもいる会社員が、危うさを感じながらも、「汚職」に身を落とした。
神戸地裁で5~6月に開かれた兵庫県内の贈収賄事件の公判。構図は公務員の側が業者側に賄賂をせびる「要求型」。贈賄罪に問われたのは、水道系建築会社の営業部門に勤める男性社員3人だった。
なぜ賄賂の求めに応じたのか。証言台に立った被告たち自身も自問しているように見えた。
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