深ヨミ

「僕、たぶん収監されるんですよ」 わき出るアイデアと商店街マネー、地域活性化の仕掛人が塀の中で見る夢

2021/12/14 22:00

 アクリル板の向こう側で扉が開き、刑務官と共に六十男が現れた。グレーの髪は伸びてウエーブがかかっている。ここは神戸拘置所の面会室。男性は判決を数日後に控えた詐欺・業務上横領事件の被告だった。


 「初めまして、ですよね?」。目の前にいる私たちを見て、記憶を確かめるように言った。「そうです」と答えると、「ですよねぇ」と言って笑顔を見せ、パイプ椅子に腰掛けた。すぐにほおづえをつくような姿勢で壁にもたれかかった。


 「で、何が聞きたいの?」


 男性はかつて地域活性化の旗手だった。それがなぜ被告となってしまったのか。それが取材の焦点だった。


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