東京電力福島第1原発事故から11年3カ月がたつ今も、福島県を離れて暮らす人たちがいる。同県郡山市の自宅が全壊し、営んでいた画材店を廃業した橋本洋一さん(58)=神戸市北区=もその一人だ。慣れない兵庫で職を転々としながら、日々の生活に向き合ってきた。6月17日には、最高裁が事故への国の責任を認めない初の判決を出した。「避難者がどれだけ苦しんでいるかなど、最高裁は見てくれていない」と憤る。(上田勇紀)
不信感
橋本さんは2011年3月11日の東日本大震災当時、47歳。生まれ育った郡山市で、妻、子、孫の3世代6人で暮らしていた。
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