深ヨミ

戦犯として絞首刑になった父、封印された記憶をたどってきた遺児 83歳の今「処刑地に墓標を」の願い

2022/09/18 18:30

 「世間の人から『親のない子供は』と笑われぬようにしなさい」。兵庫県西脇市に住む寺越脩さん(82)は、この言葉を胸に戦後を生き抜いてきた。陸軍衛生兵として太平洋戦争に従軍し、シンガポールで処刑された父、恒男さんの遺書の一節だ。一家は離散し、「戦犯遺児」のレッテルと向き合い続けてきた寺越さん。刑死した父らの名前を刻んだ墓標を現地に建ててあげたい-という願いを胸に抱く。



■父という概念がわからんから


 「ここらでは、みんな自分の父親のこと、『おやじ』って言うやろ。わしはそう呼べへんねん。父という概念が分からんから、『お父さん』って言うねん」


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