まじめに生きる人が転落/一度くらいまともに怒ってみろ
長引くコロナ禍で生活に困窮、誰にも助けを求めないまま孤立した女性を理不尽な暴力が襲ったのは、2020年11月のことだ。東京都渋谷区のバス停で眠っていたホームレスの女性が近くに住む男性に殴られ、死亡した。事件を受けて、人ごととは思えない女性たちが「彼女は私だ」と書いたプラカードを掲げ、デモを繰り広げる。わき上がる声に後押しされ、劇映画「夜明けまでバス停で」を撮ったのが、ベテランの高橋伴明監督(73)だ。「みんな、一度くらいまともに怒るべき」と話す監督が今、何を思っているのか語ってくれた。(片岡達美)
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