丸谷 聡さん (54)
福島県職員/福島市
丸谷 聡さん (54)
福島県職員/福島市
除染対策課。私が勤める福島県庁の部署です。放射性物質をどのように、どこまで取り除くのか。東京電力福島第1原発事故で突き付けられた重い課題に日々、取り組んでいます。
明石を離れて2年になります。2013年、社会人経験枠に応募して福島県職員に採用されました。民間で土壌汚染調査の仕事をしてきたスキルが生かせると思ったんです。
縁もゆかりもない土地です。どうして、と思われるかもしれません。でも、私も古里が廃虚になったんです。阪神・淡路大震災で西宮市の実家は全壊し、当時88歳の祖父が亡くなりました。
だから、ひとごとに思えなかった。原発事故のあった福島は、復興までの道のりが長く険しい。何とか、現地で役に立ちたかった。明石に残した妻には「ここに骨をうずめるつもり」と言いました。
関西では福島に関する報道が少なく、「危ない」という、発生直後の印象のまま止まっているように感じます。こちらの人々は放射能について学び、正しく恐れる姿勢を身につけている。
復興に向けて歩み始めた福島の今の姿を広く知らせていきたい。それは、"よそもん"の私こそがすべきかなと思っています。
聞き手・小林良多写 真・三浦拓也
福島県桑折町桑島三