根差す 東北の大地に
「北の鉄人」の夢を再び

伊藤 剛臣(たけおみ)さん (43)
ラグビー・釜石シーウェイブス選手/岩手県釜石市

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根差す 東北の大地に
「北の鉄人」の夢を再び

伊藤 剛臣(たけおみ)さん (43)
ラグビー・釜石シーウェイブス選手/岩手県釜石市

 岩手県釜石市が本拠地のラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)」でプレーしています。東日本大震災の津波で被災した地元を勇気づけようと、選手とスタッフ、ファンが一体となって、トップリーグ入りを目指しています。
 3年前、18年間所属した神戸製鋼を戦力外になり移籍しました。「まだまだやれる」との強い思いがある。釜石SWの前身は神鋼と同じく日本選手権を7連覇した新日鉄釜石。国立競技場を埋める大応援団と大漁旗の記憶が心を揺さぶりました。「現役最後は釜石で」。思いを理解してくれた妻や娘と移住し、充実した日々です。
 神鋼では、新人の年に日本選手権7連覇を達成。その2日後、帰神予定の朝が阪神・淡路大震災でした。一変した神戸の風景を目にした時の衝撃は今も忘れません。再起する被災者や街、会社の力を肌で感じ、先輩の教えでもある「心の鍛錬は無限」を信条に、プレーを続けました。日本代表に選ばれ、ワールドカップ(W杯)にも出場できました。
 釜石SWは今季、あと一歩のところでトップリーグ入りを逃しました。でも先日、地元が4年後のW杯日本大会の国内開催地に決定しました。次は、僕らのチームの番ですね。「北の鉄人」の伝説と夢を再び―。ひたすらに、練習と試合でベストを尽くすのみです。
(聞き手・宮路博志)


2015年3月 6日掲載
写真撮影場所:

埼玉県熊谷市、熊谷ラグビー場