小磯良平と武田薬品6代目 住吉での親交が生んだコレクションの特別展 六アイの小磯美術館 9月まで
2022/06/16 18:04
戦前の油絵「踊り子」(左端)などが並ぶ会場=神戸市東灘区向洋町中5
武田薬品工業の六代目武田長兵衞(1905~80年)と洋画家小磯良平(1903~88年)の交友に焦点を当てた特別展「秘蔵の小磯良平-武田薬品コレクションから」が、神戸市東灘区向洋町中5の小磯記念美術館で開かれている。戦前の貴重な油絵や、同社の機関誌に使われた薬用植物画が前後期で計約190点並ぶ。9月25日まで。(井上太郎)
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2人は戦前、ともに欧州遊学からの帰国後に出会った。小磯が戦災でアトリエを失うと、再建のために長兵衞が東灘区住吉山手の自邸に近い土地を紹介。住まいが徒歩圏内になり、生涯にわたって親交を深めた。長兵衞は小磯の「良き理解者であり支援者」(廣田生馬学芸担当係長)だったという。
特別展は新たに武田薬品コレクションが寄託されたのを記念して6月11日に始まった。ほぼ等身大の「踊り子」(1935年)をはじめとした写実技巧が光る女性像のほか、総合ビタミン剤の新聞広告に使われた「母子像」、月刊機関誌「武田薬報」で13年間にわたって表紙用に描いた水彩の薬用植物画など、企業のブランドイメージに貢献した作品もそろう。
コレクションからは小磯が取り上げたテーマの変遷も垣間見えるといい、廣田さんは「長く交友を続け、見守ってこられたことがよく分かる」と話している。
午前10時~午後5時。月曜休館。入館料千円。同館TEL078・857・5880
→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)