城下の絶景に笑顔 重度身障者の2人、姫路城天守閣へ登城 関西福祉大生らサポート
2021/11/17 05:30
天守閣からの眺望を堪能する高田耕志さん=姫路城
重度の身体障害者でともに兵庫県加古川市に住む高田耕志さん(63)と加藤貴士さん(39)が、関西福祉大(同県赤穂市新田)の学生らの介助を受けながら姫路城天守閣への登城に挑戦した。家族や福祉施設職員らも含め約30人のサポートで急傾斜の階段を上り切った2人は、最上階の格子窓から広がる絶景に満足そうな表情を浮かべた。(森下陽介)
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元々要塞(ようさい)の側面もある姫路城には急な坂や段差、階段が多く、エレベーターも設置されていないため建物内では車いすが使えない。同大の谷口泰司教授らが2017年から「重度の障害があっても諦めずに登城してほしい」とプロジェクトを企画し、今回で6回目を迎えた。
学生らは車いすに乗った高田さんと加藤さんを押し、入城口から続く坂道を前進。天守閣の下の広場「備前丸」に到着すると手際よく担架に乗せ、落下防止のベルトを巻いて6、7人がかりで担ぎ上げた。
建物内の階段は計109段に上り、幅が狭い上に最大傾斜も50度以上ときつい。担架での移動中、学生らは「痛い所はありませんか」「寒くないですか」などと声を掛け続けた。休憩を挟みながら約50分かけて最上階にたどり着くと、2人は眺望を楽しみながら学生と喜びを分かち合った。
社会福祉学部2年の学生(20)は「当事者やその家族と一丸になって達成できた。喜んでもらえて良かった」と声を弾ませた。かつて姫路市内に住んでいて登城を望んでいたという高田さんは「一生に一度の機会。準備も大変だったけど、それだけの価値がある体験だった」と笑顔を見せた。