まちリノベ~再整備リポート(4)鈴蘭台駅 にぎわい復活へ官民連携
2022/05/05 05:30
駅に直結する再開発ビル「ベルスト鈴蘭台」(正面)などが並ぶ鈴蘭台駅前=神戸市北区鈴蘭台東町1
神戸市北区の玄関口、神戸電鉄の鈴蘭台駅周辺は北区役所や公共施設が集まる。自然豊かで、神戸高速線新開地から約15分と立地も良い。
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40年以上前からベッドタウンとして発展し、北区人口の約6割が暮らす。しかし近年、高齢化が進み、市や地元住民は駅周辺のにぎわいづくりに知恵を絞る。
官民が連携し、2018年に駅直結の再開発ビル「ベルスト鈴蘭台」が完成した。銀行や飲食店などがコンパクトに集まり、4~7階に北区役所が移転するなど利便性はぐんと上がった。
20年には、駅前広場とその周辺道路も整備された。駅前は小規模開発が繰り返されて動線が入り組み、安全に通行しにくかったが、解消しつつある。
さらに、北区文化センターと北図書館は25年度、旧同区役所跡地へ移転する。どちらも現在地から少し駅に近づくが、移転地には勾配があるため、市が行ったパブリックコメントでは「バリアフリー化」「駐車場の充実」といった希望が多く寄せられ、対応策が求められている。
駅北地区については3月に、土地区画整理事業の計画が決定。狭く曲がりくねった県道を「鈴蘭台幹線」として整備する。旧兵庫商業高校跡地の有意義な活用法も模索されている。
一方、市は神戸電鉄と「リノベーションに関する連携協定」を20年に結んだ。里山やアウトドアなど、沿線の魅力づくりに向けたアイデアを広く募り、訪れたい街へのイメージアップを目指す。(貝原加奈)
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■老若まじえアイデアを磨く コウベノモリト代表取締役・久木田啓さん
六甲山の北側にあり、三木や三田、神戸港からの文化が交わる面白い立地にあるのが鈴蘭台。ただ、世代間交流が少ない、駅が楽しくない、歩きにくいなどの課題も。駅ビルの再開発で「昔の方が趣があって良かった」と話す人もいる。
地域の若者や高齢者が5年後の街について話し合ったり、昔の写真を持ち寄って展示したりする仕掛けづくりをしている。中心はやっぱり駅ビルだ。
高齢化で遠くに通勤する人が減り、地元の滞在人口は増えた。どれだけアイデアを持ち寄り、楽しみを増やせるかが試される。
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1995年の阪神・淡路大震災後、長く手付かずだった地域でも新たな人の流れが生まれつつある。主なエリアの現状や将来像を6回にわたり紹介する。
【連載一覧】
(3)垂水駅 ファミリー層に狙い定め
(2)神戸駅 人が主役の駅前空間に
(1)名谷駅 子育てしやすい街目指し
【プロローグ】郊外の「顔」刻々と変化