深呼吸 北播磨の清涼スポット(6)あびき湿原(加西市)

2022/07/27 05:30

広大な湿原が整備され、希少な動植物がすむ=加西市網引町

■森の真ん中、一面の緑 関連ニュース 女子サッカー門脇選手、スウェーデン1部の強豪チームに合流 東洋大卒業待たず渡欧「勝利に貢献できる選手に」 甲子園出場の社高野球部、部員の宿泊費など寄付呼びかけ ふるさと納税活用、目標1千万円 点字ブロック、段差解消…JR魚住駅周辺バリアフリーは? 明石市、「まちづくり協」で当事者ら議論 整備の基本構想策定へ

 森の真ん中で、ぽっかりと視界が開ける。さんさんと注ぐ陽光に輝く草花。大地からにじみ出る透明な水。ここが県内有数の広さを誇る「あびき湿原」だ。希少な動植物が息づく保護区で、夏の光景を探した。
 と、その前に白状します。最初の下見で「マムシ注意」の看板に恐れをなし、生い茂る湿原の手前で退散したことを…。2度目はあびき湿原保存会の山下公明さん(73)に同行を頼み、長靴装備で、いざ!
 美しく手入れされた湿原や散策道は、約10年前に本格化した保全活動のたまものだという。「これがムラサキミミカキグサ。こっちはトウカイコモウセンゴケ」。山下さんの解説が熱を帯びる。次々現れる希少植物は小さく、何ともかれん。足取りが軽くなる。
 湿原の木道に立つと、周囲をぐるりと見渡せる。一面の緑。その手前を真っ赤な影が横切った。目をこらすと、体長約2センチの希少種、ハッチョウトンボがすぐそばに。「この赤色に魅せられたんです。守らなきゃって」と山下さん。爽やかな風を感じた。
(岩崎昂志)
=おわり=
【メモ】あびき湿原(加西市網引町)は多様な生態系が保護され、県文化財(天然記念物)に指定。希少な動植物が多く、採集は禁止。ロープの先へ立ち入らない注意も必要。8月中旬ごろ、サギソウが見頃を迎える。保存会の山下さんTEL090・8757・6481
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