尼崎JR脱線事故 「遺品、今も活躍しています」犠牲のOB悼み三田学園吹奏楽部が献花

2021/04/26 05:30

顕彰碑に花を手向ける吹奏楽部の部員ら=三田学園

 尼崎JR脱線事故から16年となった25日、兵庫県三田市南が丘2の三田学園では、事故で犠牲になったOB石井勝さん=当時(37)=を悼み、石井さんが部長を務めた吹奏楽部の後輩らが顕彰碑に献花した。 関連ニュース JR西、自動列車停止装置の設定ミス 機関車11両、カーブで設定速度超過の恐れ 尼崎脱線事故の保存施設、完成遅れ25年秋に 遺族ら要望で設計変更「目的意識を強く持って」 【JR脱線事故】命を乗せて-社員が語る思い 今日も現場で


 石井さんは神戸市北区出身で、在学中は吹奏楽部のホルン担当として活躍。1986年に卒業後、神戸大学理学部に進学。民間会社のシステムエンジニアとして働いていたが、通勤中に事故にあった。
 顕彰碑は2006年、石井さんの中高の同級生が呼び掛け合って建てた。吹奏楽部の練習場や部室がある東館の中庭にある。石井さんの生年月日や高校、大学、会社の経歴などが刻まれている。
 昨年4月25日は新型コロナウイルスの影響で休校期間だったため、生徒は登校できず、顧問だけで献花した。今年は2年ぶりに実施でき、中学2年~高校3年の部員約50人が花束を供え、黙とうした。
 部長で高校3年の女子生徒(17)は、石井さんが自分と同じホルンを演奏していたと知り、存在を身近に感じたという。「突然のことで本当に無念だったと思う。事故のことを伝えていきたい」と話した。
 吹奏楽部の練習場には、石井さんが自宅で愛用していたアップライトピアノが置いてある。事故から1年後、石井さんの遺族から寄贈された。「ピアノの音が大切な曲で活躍してくれています」と女子生徒。後輩たちの手で、今も色あせない音色を響かせている。(小森有喜)

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