谷村新司と出会い、青春時代過ごした神戸は「僕らの原点」 堀内孝雄デビュー50周年

2022/06/10 15:00

デビュー50周年を迎え、「神戸に限らず全国各地のみんなに本当によくしてもらった」と感謝する堀内孝雄=神戸新聞社(撮影・中西幸大)

 歌手の堀内孝雄(72)がデビュー50周年を迎えた。伝説のフォークグループ「アリス」で一世を風靡(ふうび)し、ソロでもニューミュージックから演歌・歌謡曲まで数々のヒットソングを世に送り出してきた。そんな日本音楽界の大御所が、下積みの青春時代を過ごしたのが神戸だ。「僕らの原点。神戸抜きには語れない」と特別な思いを寄せる。 関連ニュース トータス松本さん「30年以上暮らしているが『東京の人』じゃない」あふれる地元愛 「上沼恵美子はもういらん」美容院にも行かず… 本人が語る「えみちゃんねる」終了の失意と復活までの赤裸々な思い 昭和のヒットメーカー、未発表作は40年以上前の書下ろし CD化され、洲本の母校で歌声響く

 大阪市出身。アリスのリーダーでシンガー・ソングライターの谷村新司とは、1960年代に関西の学生フォークを先導していた神戸の音楽サークル「ポートジュビリー」で出会った。参加するため、バンドでオーディションを受験。審査員の一人が谷村だった。
 「あと3、4人の審査員がいて、みんなバツ。でも、チンペイさん(谷村)だけマルを付けてくれた。後々聞いたら説得してくれたみたい。何かの縁ですね」
 72年3月、アリスとしてデビュー。その後にドラマーの矢沢透が合流した。しかし、しばらくは鳴かず飛ばず。ツアーやライブに明け暮れた。「西脇や加古川にも行きましたよ。ダイエーの前の焼き鳥かウナギを焼いている隣でサイン会もした」と懐かしむ。
 地道な活動の成果もあり、別のフォークグループのカバー曲「今はもうだれも」がヒット。その後、オリジナル曲の「冬の稲妻」の大ヒットなどで一時代を築く。アリスの活動停止後はソロでも活躍。「君のひとみは10000ボルト」「恋唄綴(つづ)り」などの名曲を生み、希代のヒットメーカーとして地位を確立した。
 半世紀を振り返り、「長く続けることはまんざらでもない。あきらめないのが大事。こつこつ築いたことは簡単には崩れない」と力を込める。これからも気負わず、走り続ける。「『堀内、ようやりよったわ。そんなにできるんやったら、俺もやってみよう』。そう、やる気になってもらえたら」
 50周年を記念し、2枚組のベストアルバム「愛(いと)しき日々」を発売した。1枚目は書き下ろし4曲と、堀内がこだわり抜いたややマニアックな曲を選んだ。「なじみは薄いかもしれないが、僕の本質を知る上では絶対にお薦め」。2枚目はおなじみのヒット曲やスタンダード曲を集めた。(藤森恵一郎)

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