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「上沼恵美子はもういらん」美容院にも行かず… 本人が語る「えみちゃんねる」終了の失意と復活までの赤裸々な思い

2022/06/05 11:20

 歯に衣(きぬ)着せぬトークで、関西を中心にダントツの人気を誇るタレント、上沼恵美子さん(67)。世間をにぎわせた、「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ)の突然の番組打ち切りについても包み隠さず、正直な気持ちを語ってくれた。「そこまで言って大丈夫?」とこちらが心配になるほど。

 「ひょっとして素顔は気むずかしい人で、気分を損ねたら…」。でもそれは取り越し苦労だとすぐにわかった。思い切ってインタビューをお願いするとマネジャーさんから「どうぞ自宅にお越しください」との連絡。3月初め、カメラマンと2人、ドキドキしながら玄関のインターホンを鳴らした。

■テレビとラジオのレギュラーは減ったけれど…

 「今はネットの時代やと痛感してます。その世界にちょっとお邪魔させてもらったので、私がどうしているのか、マスコミの方も興味を持たれるのかも」と上沼さん。新聞、雑誌、ネットメディアからの取材依頼が増えているそうだ。

 いろいろ理由があって、ピーク時に十数本あったレギュラー番組がテレビとラジオ各1本になり、自由な時間が増えたという。そこで昨年末から、動画投稿サイト「ユーチューブ」を始めた。それがまた人気を呼び、多いときは再生回数200万回超え。海外の視聴者からもコメントが寄せられる。

■幼少時代から視聴率女王までの舞台裏は

 そんな近況から始まって、話は昔にさかのぼり、古里、三原郡福良町(現兵庫県南あわじ市)で過ごした幼少時代や、姉妹漫才コンビ「海原千里・万里」の千里でのデビュー、苦労を重ねた下積みの頃、次第に人気が出て、超多忙を極めた絶世期へ、出演すれば数字が取れる視聴率女王と呼ばれ…。舞台の表も裏も、話題が尽きることはない。

 「鉄板」の家族ネタ、夫・真平さんと、亡くなった義母のことも、水を向けると立て板に水。軽妙な口調、絶妙の間、振りがあっての落ちと、テレビで見ているのと同じトークに、こちらは笑いっぱなし。ぜいたくな時間を過ごした。

◆◆◆

-─レギュラー番組はテレビとラジオ各1本になったが今、新たな活路をネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に見いだしている。

 テレビは「あれ言うたらダメ、これもダメ」が増えて。自由なトークで盛り上げていく私のようなタイプにはもうなじまない。それに民放局はスポンサーが重視する49歳以下の視聴者を大事にする。私のファン層は少し上なんです。

 レギュラーが減り、時間が増えて、さて何をしようかと考えていたら次男が言うてくれたんです。「カメラの前で好きなことしゃべったらエエねん」と。

 ユーチューブを昨年末に始め、2週間に1回のペースで更新してます。1回20分ほど。デビュー当時のことや司会したNHK「紅白歌合戦」の舞台裏、バラエティー番組で私がしかった大物俳優…家での過ごし方も、お気に入りのお菓子のことも話しました。トークだけのときもあれば、お好み焼きやピザトーストを作ることも。思いの外、水が合います。

 初回の再生回数が117万回。お好み焼きの回は200万回に手が届く勢い。視聴者の7割が45歳以上の女性です。動画を見た桑田佳祐さんが自身のラジオ番組で面白いと絶賛してくれました。

 ロンドン在住の日本人からもコメントが来ました。ずっとローカルの大阪を拠点にしてましたから驚くことばかり。気持ちいいですね。

─-テレビからユーチューブへと軸足を移すきっかけは25年続いて2020年夏、突然終わった「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ)だった。

 人生で一番、ショックな出来事でした。誠心誠意、全精力を傾けて臨んだ番組だったので。次男が構成作家として関わっていたこともあり、あることないこと雑誌に書かれもしました。真相は違います。でもしゃべれません。墓まで持って行きます。

 「上沼がひとりでしゃべってる」とよく批判もされましたが、ゲスト任せで待ってても面白い話は出てこない。向こうから来た小さな話のボールを、こちらで大きく面白く膨らませて投げ返す。こっちはそのプロですから。

 傷口に塩を塗られた感じで、仕事も生活も完全にやる気を失いました。もう一人の自分が「上沼恵美子はもういらん」「終わった」と言うてるみたいで。コロナで鬱々(うつうつ)した気持ちのまま、化粧はしない、美容院にも1年行かず、自分で髪を切って。その年末には持っていた番組を全部降りて引退しようとも思いました。

 負の感情にとらわれてたらダメだと思って、番組25周年記念の社長賞としてもらったクリスタルのトロフィーを勝手口にたたきつけてかち割り、ちょっとだけスッとしました。

 この前、歯並びを直したんです。歯がグラグラになり、差し歯の前歯が斜めになってたんで。この年になってまた前向きになっています。最近、気が付きましたが私、どうも「しゃべり」らしい。歯もきれいになったし、またどんどんしゃべりますよ。

(聞き手・片岡達美)

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上沼恵美子さん

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