大事なのは想像力/理解したい、寄り添いたいと思うこと
仙台市に、社員わずか2人の小さな出版社がある。「荒蝦夷(あらえみし)」。荒蝦夷とは、古代朝廷の支配に抵抗し続けた東北の民を指す。代表の土方正志さん(58)はフリーライターとして阪神・淡路大震災をはじめ全国の被災地で取材を重ね、2005年に同社を立ち上げた。そして、11年3月11日。東日本大震災に見舞われる。著書「瓦礫(がれき)から本を生む」(河出文庫)などに、生々しい記憶や抱え続ける苦悩、葛藤をつづる土方さん。今も神戸の書店や出版社、被災者らと交流を続けている。東北の被災地は3月、10回目の「あの日」を迎える。実際に会って、聞きたいことがたくさんあった。雪のちらつく仙台へ向かった。(末永陽子)
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