一人になっても声上げる/分け隔てなく患者に寄り添う
ハンセン病患者らに対する国の強制隔離政策を違憲と断じた2001年の熊本地裁判決から、今年で20年を迎えた。映画監督の高橋一郎さん(67)=神戸市須磨区=は強制隔離に反対し続けた孤高の医師、小笠原登氏の生涯を描いた作品を発表、その信念が裁判を通して結実していく様を描く。タイトルは「一人になる」。国家公務員の医師でありながら国の圧力に屈せず、患者のための医療を貫いた。高橋さんはハンセン病問題の背景にある優生思想を批判し、「今日の社会もぬぐい去れていない」と語る。今、小笠原医師の生き方から私たちは何を学べばいいのだろう。コロナ禍で同調圧力が高まる中、その人物像に触れながら高橋さんと考えた。(中部 剛)
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