【写真上】世界ランカーのニクーリン(右)との再起戦は激闘となった=2010年9月、大阪・IMPホール(山内城司さん提供)
■土俵際の再起戦
東洋太平洋と日本の王座2冠から陥落した野中悠樹(43)は、周囲から引退を勧められた。既に30代を迎え、体力の衰えも懸念される。この先、まだチャンスはあるのか。
野中自身は家族と別れてまでボクシングを選んだ以上、自分の可能性にとことん懸けようと、心に決めていた。そして「次は世界ランカーとやる」と目標を一気に引き上げる。勝って世界ランキングに入れば、世界戦も見えてくる。桂伸二トレーナー(50)は「失うものはない。試してみるか」と、ラストチャンスを覚悟で動き始めた。
野中が戦う重量級は欧米の選手を中心に層が厚い。世界ランカーを招くには、ファイトマネーなどで300万~500万円が必要だった。野中は自らスーツに着替えて、スポンサーを探し始めた。つてをたどって「厳しい階級ですが、一つ勝てば世界戦も狙える」と熱く訴え、自力でスポンサーを見つけ出した。
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