被害の全容見えぬまま/検証なき「失われた10年」
「公害の原点」とされる水俣病を巡り、熊本地裁が原因企業チッソの責任を認めた第1次訴訟判決から、今春、半世紀を迎えた。1970年代、写真家で元夫の故ユージン・スミスさんとともに水俣病の被害を世界に伝えたアイリーン・美緒子・スミスさん(72)=京都市=は、今も水俣に足を運び、高齢化する患者らと向き合う。その一方で、40年近く「脱原発」を求める市民活動を続け、原発事故後の福島の被災地を見つめてきた。政府が「原発回帰」に向かう今、水俣や福島の教訓から考えるべきことは何か。アイリーンさんに聞いた。(石沢菜々子)
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