ガーじぃが見たスマスイ 一部閉館を前に(7)アマゾン館など
2021/02/25 05:30
2月末で閉鎖されるアマゾン館の水中トンネル=神戸市須磨区若宮町1(撮影・秋山亮太)
神戸市須磨区の須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、ワシはそこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。
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■レトロと言われるが、進化してきたんじゃ
そろそろ東側の15施設を見てもらえるのも終わりに近づいてきとるの。人間界では未知のウイルスが広がっとるらしく、あまり多くの人には会えずじまいじゃった。最後に話す機会ができて、ワシはうれしいぞ。
阪神・淡路大震災の後、より魅力的になるために、新たな施設を考えていくんじゃ。来園者はピークの半分以下に減ってもうたからの。その先駆けが2000年にできた「アマゾン館」。イルカライブ館以来、約10年ぶりの新館じゃ。
南米・アマゾン川の魚類が暮らしとる。世界最大級の淡水魚ピラルクもおる。当時の園長(鮫島叡元園長)が無類のアマゾン好きで、肝いりの企画じゃ。
「どうせやるならチューブ型トンネルや」言うて、水槽内に透明アクリルの通路を作りよった。日本では前代未聞じゃった。
関わったババさん(馬場宏治・飼育支配人)は「ひやひやしたわ」って。例えると、空気が入った洗面器を下向きのまま風呂に沈めとる状態。強い浮力にさらされ続けとるわけ。最初の業者には「無理」って逃げられたらしい。何日もかけて注水して大成功じゃ。ただ浮力はずっとあるから、接着部分が20年でかなりずれとるらしい。飼育員はずれの距離を定期的に測っとる。ぎりぎりじゃ。最後までようもったな。
09年には「アザラシ・ペンギン館」ができた。草地を歩くペンギンが見られる画期的な施設じゃった。12年にはアザラシと触れ合う「シールピース」も完成した。穴から首を出す姿、かわいかったのぅ。
最近はノスタルジックやと言われるが、その時代の最新を取り入れて楽しんでもらうんや言うて、スマスイも進化してきたんじゃ。(小谷千穂)
【バックナンバー】
■(6)震災
■(5)スマイルカ焼き
■(4)イルカライブ館
■(3)ラッコ館
■(2)世界のさかな館
■(1)まずは自己紹介