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壊滅的な被害を受けた「波の大水槽」=須磨海浜水族園(1995年1月21日、同園提供)
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壊滅的な被害を受けた「波の大水槽」=須磨海浜水族園(1995年1月21日、同園提供)

 神戸市須磨区の須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、ワシはそこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。

     ◇     ◇

■水槽の魚290種11000匹が命落とした。

 1987年のリニューアル当初から客を楽しませるのは「さかなライブ劇場」じゃ。飼育員の解説つきで、テッポウウオやデンキウナギ、イリエワニたちが刺激的なお食事シーンを披露しておる。

 5年前には人間がエサ役になるプログラムも加わった。テッポウウオの水鉄砲がわりにボールをぶつけられたり、マダコの吸盤に見立てた機械に引っ張られたり、弱い電流を受けたり…。お客さん相手とは思えん所業じゃな。

 2月のある日、ピラニアの出番だったんじゃが、エサに全く食いつかん。腹いっぱいだったんかのぅ。お客さん、失笑しとったわ。

 ワシはこの時、思い出したことがある。阪神・淡路大震災じゃ。劇場にいた約1400匹のピラニアが酸欠で全滅した。幼魚が2匹だけ、あとから見つかったんじゃがの。与えられたエサを「食べる」「食べない」と選択できる今のピラニアたちは幸せじゃ。何げないが、涙が出る。

 建物の被害は比較的小さかったんじゃが、停電と断水が痛手じゃった。彼ら、エラ呼吸じゃろ。空気を送るポンプが止まって、酸素がなくなったんや。水質も悪化してな。スマスイ全体の半数に当たる290種、約1万1千匹が命を落とした。

 ワシがいた水槽の水もよどんで、エサが減ってぎりぎりじゃった。飼育員たちは心を痛めながら奮闘してくれた。施設は避難場所や中学校の分校として活用された。3カ月後に再オープンして、泣く大人たち、笑う子どもたちの表情が忘れられん。

 そういえば昨年、コロナで3カ月休園した後も、みんな似た顔しとったな。どんな時も、ワシらが生きとる姿を楽しんでもらえるスマスイでいたいもんじゃ。(小谷千穂)

【バックナンバー】

(5)スマイルカ焼き

(4)イルカライブ館

(3)ラッコ館

(2)世界のさかな館

(1)まずは自己紹介

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