<明日を選ぶ>神戸のLGBT当事者団体代表・内藤れんさん

2021/10/26 15:00

内藤れんさん

■トイレ、就職差別…困りごと知って 関連ニュース 「性的少数者は病気じゃない」シンガポール 禁止条項撤廃を経て理解深める定例イベント エルトンとの共作のブランディ「葛藤する性的少数者の若者の助けになれば」  「播州織の魅力広めたい」西脇高生が万博披露前にリハーサル 障害者や性的少数者想定した衣装も

 僕は生まれた時の体は女性で、性自認は男性のトランスジェンダーです。性的少数者を指すLGBTという言葉は広まりましたが、どういう人がいて、どんなことに困るかは、まだまだ認識されていません。
 例えばトイレ問題。多くのトランスは男女兼用トイレを重宝します。見た目にかかわらず使えますから。トイレを男女別に赤や青色にするのをやめる動きもありますが、入りやすくなるわけではなく、正直トランスへの配慮にはなっていないなと思います。色に気を使うより、個室を増やしてくれる方がよほど使いやすい。
 仕事で困っている人も多くいます。採用の選考過程で差別にあったり、入社後にカミングアウトしなきゃいけなかったり。男女別の制服が嫌だという声もよく聞きます。トランスであると知られるくらいなら死んだ方がましだと考え、非正規雇用で働き、周囲にばれそうになったら退職をくり返す人もいます。カミングアウトなしに働けるような環境になるのが一番いい。
 同性婚は早く実現してほしいと思っています。性自認は男性ですが、戸籍は女性のままなので、女性とは結婚できません。戸籍の変更には性別適合手術が必要で、手術まではしたくないトランスもいる。さまざまな組み合わせのカップルが結婚制度の壁に阻まれています。
 今年LGBTへの理解増進法案の国会提出が見送られた時、政治家はこの程度の理解なのかとがっかりしました。議論の内容を見れば、何も知らないことが明らかです。議論するなら、少しは勉強してほしい。
 政治家の中には差別的な発言をする人もいます。目立つ人の発言は、当事者を傷つけるだけでなく、ほかの人にも「(LGBTは)そう言われるような人たちなんだ」と思わせてしまいます。言葉は人を殺すこともあるんです。まずは当事者の声を聞く姿勢を持ってほしい。(小尾絵生)
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