ひょうご中小企業就活ガイド2016
大阪熱処理(株)
日本でのものづくりにこだわる鉄を薄く延ばし、熱処理から成形まで一貫して行う素材メーカー。製品は幅広い分野で使われている。社名に「大阪」と付くが、創業以来、西宮の現在地に拠点を構える。
1932年、財閥系の鉄鋼会社からドイツに社費留学した技術者が創業した。当時、輸入品だった安全カミソリの国産化に成功するなど、技術力をてこに業界のトップに上り詰めた。
日本の製造業の空洞化が進むなかで、国内でのものづくりにこだわる。鉄鋼業界では珍しく、大手製鉄会社の系列に属さず独立を貫く。
主力製品の薄鋼は消費者の認知度こそ低いが、自動車の駆動関係の部品から家電やITまで幅広く使われており、取引先には大手企業も多い。
70年近く製造する巻き尺用の鋼は、安い海外製品に押され、国内では2社しか手掛けていない。窓用ブラインドの製造技術を生かし、鋼を新聞紙ほどの薄さに延ばした後、熱を加えて冷やす瞬間に成形する。冷やしてから機械的に曲げる海外製品とは比べものにならない耐久性を誇る。巻き尺メーカーに月間40~50トンを納め、製品は世界中の建築現場でプロに愛用されている。
製造現場では技術伝承を重視。納入先の工程を省くような製品の開発などで需要を掘り起こす。技術職だけでなく、相手先のニーズをつかみ開発につなげる営業職も重要になる。
技術力を知った海外顧客も多く、「熱処理」という社名のイメージを超えて輸出企業としての側面も持つ。大手商社勤務の経験を持つ野本榮一社長は、積極的に海外に出て商機を探るよう社内で呼びかける。
新入社員は入社後3カ月から半年かけて研修を受ける。ものづくり企業として、配属先にかかわらず、一度は製造現場を経験する。
一人の社員に任せられる仕事の範囲が広いので、好奇心旺盛な人が向いているという。野本社長は「自分のフィールドを広げる努力ができる人がほしい」としている。
〈所在地〉西宮市津門飯田町3ー49 TEL0798・66・1255




















