ひょうご中小企業就活ガイド2016
(株)淡路屋
駅弁に新アイデアを次々と駅弁発祥の地ともいわれる神戸を拠点に、100年以上も駅弁を製造販売する。鉄道の高速化などの逆風下、アイデア商品を投入し駅弁を守り続ける。
江戸時代に創業した大阪・曽根崎の料亭「淡宇」が発祥だ。1903年、大阪駅に拠点を設け、当時の阪鶴鉄道(現JR福知山線)の列車内で駅弁の販売を始めた。その後、福知山線生瀬駅、宝塚駅や山陰線園部駅でも販売。戦後、神戸駅に拠点を移す。
1970年代には京阪神の百貨店等に直営店を開設。現在の営業エリアは主に西明石駅から新大阪、京都駅までのJR駅構内だが、東京地区のJR駅、関西の百貨店、空港、甲子園球場や京セラドーム大阪などでも弁当を販売する。販売先拡大に対応し、神戸の本社工場は日産4万個の生産能力を持つ。
近年、鉄道の高速化やテイクアウト食品の増加、コンビニエンスストアの登場など、駅弁業界には逆風が吹く。かつて全国で約400社を数えた業者は、約100社まで激減した。その中で、寺本督社長は「飾ることなく、できることを当たり前にやる」と伝統を守り続ける。
一方で、時代の変化に応じた新しい弁当開発に積極的だ。1965年に発売した国産牛肉とご飯を組み合わせた「肉めし」。全国初の加熱装置付き「あっちっちスチーム弁当」。わさびエキスの除菌シート。最近ではたこ壺型容器入りの「ひっぱりたこ飯」なども。今年は牛肉のお茶漬け弁当も発売した。現在の商品は70種類近い。
「さまざまなアイデアで付加価値を付けた商品で差別化を図り、価格競争とは一線を画する」と寺本社長。「今後は、将来にわたり駅弁が永続できるように、デザインにも力を入れ、ブランドの再構築に投資をしたい」と、新たな戦略を練る。
学生には「人と一緒でなくてもいい。社会も世界も広いので、焦らず自分にあった道を探してほしい」とアドバイスしている。
〈所在地〉神戸市東灘区魚崎南町3ー6ー18 TEL078・431・1682




















