ひょうご中小企業就活ガイド2016
冨士発條(株)
バネ製造から世界有数の電池部品メーカーに地場の小さなバネ工場が、二次電池との出会いをきっかけに電池部品メーカーに転進。朝来をベースに、世界企業への躍進を目指す。
家庭で使う充電式電池から電気自動車のバッテリー、IT機器の電源に至るまで、大半の電池には内部の化学物質が温度変化などで破裂・爆発しないよう、安全弁のような超小型バネが装着されている。
充電できるニッカド電池が1970年に日本で初めて開発された際、そのバネを製造したのを機に、電池ケースなどにも進出。電子機器や携帯電話の普及が追い風となり、世界有数の電池部品メーカーに成長した。
特徴的なのは、開発した部品を生産するのに必要な金型まで製造する点だ。顧客の多様な要望にスピーディーに対応できる。
「大阪や神戸と違い、金型メーカーが近くになく、仕事を続けていくには自前でやるしかなかったが、結果として、競合他社にはない強みになった」と藤井啓社長は話す。
事業が国際展開するにつれ、生産拠点を海外に移す企業が多い中、但馬・朝来の地から本社を離れず、工場も朝来で拡張した。「ネットが普及した現在、情報面では但馬にいても不利ではない。自然環境に恵まれたこの地で、但馬出身の若者にもっと働いてもらいたい」。
携帯電話向け市場はいずれ成長が鈍ると判断し、近年は自動車向け市場に経営のかじを大きく切った。顧客とする各国の自動車メーカーが構える世界拠点の近くに、最小限の生産工場を構える戦略も練る。
さらなるグローバル経営を目指して社内体制の強化などを進めており、株式上場も視野に入れる。
だが今後も、本社や研究開発拠点、中核となる工場は朝来を離れるつもりはない。
「世界的に必要とされる企業となる夢を、但馬の地から、ともに追い求めたい」と、藤井社長は学生に呼びかけている。
〈所在地〉朝来市和田山町筒江165-51 TEL079・674・1600




















