正平調

時計2023/03/27

  • 印刷

春の陽光に包まれた寺で、藍染めの衣の尼僧が深々と頭を下げて出迎えてくれる。寝そべる猫の傍らで話すのは難しい仏教や法事のこと…ではなく、世俗に生きる私たちが抱えるさまざまな苦悩について◆姫路市網干区にある臨済宗の禅寺、不徹寺。1688(元禄元)年、丹波出身の俳人田(でん)ステ女(じょ)が建てた不徹庵(あん)から始まり、代々尼僧が守り続けてきた◆「どうにもならないことは、何とかしなくてもいいんじゃない?」。庭が見える本堂で、松山照紀(しょうき)住職がほほ笑み、悩みを抱えて訪れた人を諭す◆そんな松山住職が、求められて著書「駆け込み寺の庵主さん」をしたためた。学生結婚、多くの死を見つめた看護師時代、そして出家。激動の人生を振り返って、読者に「失敗もいいことも、一つ一つが今の自分を構成している。胸を張って!」とエールを送る◆出版の影響もあり、今では毎日のように、対話や電話で誰かの相談に乗る。「それが頭をそっている者の努め。残された時間全てを費やしても惜しくない」。穏やかな声に、一瞬熱がこもった◆〈雪の朝二の字二の字の下駄(げた)の跡〉。積雪の情景を6歳で俳句にしたステ女。目に映ったそのままを表現した素直さは、松山住職が「ありのままでいい」と説く心の姿とも重なる。2023・3・27

正平調の最新
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ