■午前9時18分、脱線。
生きててごめんなさい…。そんな思いが心をうずかせる。乗客106人と運転士が亡くなり、493人が重軽傷を負った尼崎JR脱線事故から25日で16年。生き残った人々は、後遺症や心の傷と向き合い、事故と折り合いをつけながら生きている。それでも遺族や死者を思うたび、罪悪感や無力感を覚えるのはなぜだろう。1両目にいた4人に聞いた。(大田将之、村上貴浩)
2005年4月25日朝、JR宝塚駅のホーム。抜けるように青い空だった。
当時32歳のパート社員だった西宮市の主婦Aさんは大阪の職場へ向かい、快速電車に乗り換えた。大阪駅で地下鉄にスムーズに乗り換えられるよう、1両目後方のロングシートに座った。
同じ頃、当時26歳の専門学生だった西宮市の派遣社員男性Bさんは、通学で2両目に乗り込んだ。1両目に移って空席が見つからず、つり革を握って立つ。
午前9時4分ごろ、7両編成の快速電車が宝塚駅を出発する。住宅街や工場、田畑…。車窓にいつもの風景が流れて伊丹駅に入る。
当時18歳の大学生だった伊丹市の会社員男性Cさんはホームで待っていた。その目前を、止まるはずの電車が猛スピードで通り過ぎる。約72メートルのオーバーラン。「えっ! どうしたん」。電車がバックで戻ってくると1両目の中央に入り、偶然出会った大学の友人と言葉を交わした。「やばいな。変な電車やな」。運転席に、若い背中が見えた。
「大丈夫かいな…」
車内はざわついていた。Aさんは左隣に座る高齢女性と「こんなこともあるんですね」と顔を見合わせる。Bさんは怖くなって車外に出ようとしたが、人混みに押されて動けなかった。
午前9時16分。定刻を1分20秒遅れ、電車は伊丹駅を出た。スピードを上げ、塚口駅を通過する際、遅れは1分12秒に縮んでいた。電車は時速116キロで急カーブに突き進む。
1両目後方。当時21歳の大学生だった宝塚市の会社員女性Dさんは就職活動で大阪へ向かう途中だった。高校の同級生と向かい合って立ち、話をしていた。
伊丹駅を出てから、車窓の風景がどんどん速く流れる。窓がガタガタと揺れ、ブレーキ音が響く。とっさに友人と握り合った手は次の瞬間、引き離された。
シートに座っていたAさん。体が背中側に倒れ、車窓が青い空で覆われた。あおむけ状態になると前に立つ人、前の座席に座った人が降ってきた。目を固く閉じ、押しつぶされそうな重みに身を縮めた。
午前9時18分、脱線-。1両目は線路沿いのマンション「エフュージョン尼崎」に激突し、立体駐車場に突っ込んだ。
ガンガンガン、バンバンという音。激しい衝撃の後、Aさんの体がふっと軽くなる。自身の上に折り重なった人々が車両の前方に飛んでいく。静まり返り、割れた窓から真っ暗な場所にドスンと落ちた。
駐車場内。真上に、ひしゃげた車両の側面がうっすらと見えた。中で押し詰められた乗客が1人、2人と力なく落ちてくる。泣き声と叫び声、うめき声がこだましていた。
Cさんは車内で目を開けた。真っ暗闇に香水や血が混ざって、吐き気のするような臭いが漂う。外から差し込む一筋の光が、逆さまになって動かない女性の脚を照らしていた。
生死の境に居合わせた、それぞれの16年を辿る。

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