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西宮市のホームページ。「ワクチンが足りなくなることはないので、安心して待ってほしい」と呼び掛ける
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西宮市のホームページ。「ワクチンが足りなくなることはないので、安心して待ってほしい」と呼び掛ける

 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、高齢者の受け付けが始まった兵庫県の阪神間の自治体でトラブルが相次いでいる。窓口のコールセンターには電話が殺到し、回線がパンク状態に。個別接種を受け付ける医院には長い行列ができ、診療に支障が出た。一方、年齢や地域別に細分化して予約開始日を分散させる自治体もあり、混乱解消に向けた試行錯誤が続く。(中川 恵、久保田麻依子、山岸洋介)

 「コールセンターに全然つながらん」。西宮市が予約の受け付けを始めた12日、広報課には約180件の苦情電話が殺到した。ほかの部署にも「数え切れないほど」の電話が相次ぎ、職員らが対応に追われた。

 人口の多い市南部では複数の医院で予約を求める行列ができ、医師から「診療ができない」との悲鳴が市に届いた。

 西宮市の65歳以上は約12万2千人。集団接種はまず約4400人分の枠を設け、ウェブとコールセンターで受け付けたが、ウェブ分は初日の開始8分で終了。コールセンターには初日の12日だけで10万件以上の電話がかかり、14日午前には枠が埋まった。

 石井登志郎市長は14日、取材に「十分準備してきたつもりだが混乱を招いた。市民や医療従事者に申し訳ない」と陳謝。市は6月1日に予約を再開予定で、集団接種の会場を2カ所増やすという。

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 65歳以上が約13万人の尼崎市でも、受け付け開始の5月10日に電話やウェブがつながりにくくなった。インターネットが苦手な人向けに生涯学習プラザなど計6カ所に設けた予約代行には長蛇の列ができ、開始2時間で受け付けを中止した。

 市は、インフルエンザの予防接種を受ける高齢者の大半がかかりつけ医を利用するため「コールセンターにこれほど電話があるとは想定外だった」と釈明。高齢者1人のために子や孫ら複数の人が電話して回線に負荷が掛かったケースや、ウェブと個別接種で二重に予約してキャンセルした例もあった。次回予約は24日からの予定で「予約が殺到しないよう、分散させる工夫を検討する」とした。

 例えば、接種日時を市が決めて高齢者に連絡する方式もあり得たのでは-と問うと、尼崎市は「ワクチン接種は任意なので、最初から割り振ることは難しい」。西宮市は「都合が悪かったり、キャンセルが出たりする。検討したが採用には至らなかった」とした。

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 電話予約が殺到するのを少しでも防ごうと、予約方法を工夫する自治体も。同県伊丹市と川西市は、必要なワクチン量が7月末までに供給されると見込み、予約を打ち切らず、電話やインターネットにつながった人は全員、予約日を決める体制にしている。

 6日に75歳以上の電話予約が始まった伊丹市では、13日までに約1万3千人分を受け付けた。電話回線が混雑したためインターネット予約を予定より前倒しし、20日以降にある74歳以下の予約は、5歳区切りで時期をずらして予約してもらう方法に急きょ変更した。担当者は「電話はつながりにくい状態が続いているが、インターネット予約は順調。スケジュール通りに接種が完了するよう工夫していきたい」とする。

 川西市は市内を6グループに分け、グループごとに予約開始日を設定。コールセンターは50回線を用意し、初日以降は電話がつながりやすくなったという。

 越田謙治郎市長は自身のツイッターをフル活用し、予約に関する意見や不正確なうわさが書き込まれた投稿には1件ずつ返信し「ワクチンは必ず接種できるので、焦らないで行動して」と呼び掛けている。

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