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おそろいのTシャツでアワイチに挑んだ(左から)山中蓮介君、中尾颯君、岡田蒼梧君=加東市屋度
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おそろいのTシャツでアワイチに挑んだ(左から)山中蓮介君、中尾颯君、岡田蒼梧君=加東市屋度
海沿いの道を列になって走る3人(岡田貴幸さん提供)
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海沿いの道を列になって走る3人(岡田貴幸さん提供)
曲がりくねった坂道も乗り越えた(岡田貴幸さん提供)
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曲がりくねった坂道も乗り越えた(岡田貴幸さん提供)

 兵庫県加東市の福田小学校6年の仲良し男子3人組が今月、愛用の自転車にまたがって淡路島1周(アワイチ)にチャレンジした。新型コロナウイルス禍で行事縮小が続いた小学校生活。最後の夏に思い切って挑んだ冒険は、山道に迷ったり、強い海風に押し戻されそうになったりと、なかなか多難だった。2日間、計150キロ余りの旅を終え、3人の胸に去来した思いとは-。(岩崎昂志)

 3人は中尾颯(はやて)君(12)、岡田蒼梧(そうご)君(12)、山中蓮介(れんすけ)君(11)。保育園から家族ぐるみの友達で、今は同じ少年サッカーチームで週5日ボールを蹴る日々だ。何か思い出に残ることをと考えていたとき、蓮介君の父・元(はじめ)さんがかつて挑んだアワイチの話を聞き、3人は「やってみよう」と決意。家族も応援し、車で下見に連れて行き、おそろいのTシャツまで作った。

 7月2日土曜の朝6時半、3人は島北部の道の駅あわじ(淡路市岩屋)を出発した。空は快晴。島の外周を時計回りに進む。使い慣れた子ども用自転車は、早朝の海沿いを快調に駆けた。本格的なロードバイクで追い抜いていく大人たちを見て「速いなー」と笑い合う余裕もあった。

 ところが、太陽が昇るにつれ強烈な暑さが襲う。体力を奪う上り坂が2キロ続き、汗だくに。さらに、海を一望できる南淡路水仙ラインで逆風が吹き付け、ペダルがずっしりと重くなった。「きつい。しんどい」。気持ちが折れそうになった3人は、山道で迷うトラブルにも見舞われた。「心の中で『やめたいな』と思った」と蒼梧君は振り返る。

 車で10~20キロごとに見守っていた蒼梧君の父・貴幸さん(50)と連絡を取って正規ルートに戻った。「(休憩地点まで)あとちょっとやから行こう」。励まし合い、強風時は先頭を交代しながら進むなど次第に連係が取れ始めた。1日目の目的地に到着したのは午後6時半ごろ。出発から12時間後だった。

 疲労の中で迎えた2日目は、雨。朝7時の出発時から3人の表情はさえなかった。だが、この日は幸運にも追い風。初日より平地も多く、ペースをつかんでぐんぐん進む。「これはいける」。午後4時すぎ、出発地点に帰り着いた。

 ゴール直後は疲れ果て、ぐったりとした顔だったという3人。「こんなに長い距離走ったんやな」と蓮介君が振り返れば、蒼梧君は「2人がいなかったら(途中で)やめてた。いて良かった」。颯君は「協力して成長できた気がする。思い出になった」と充実感を漂わせる。

 3人に「またチャレンジしてみたい?」と聞くと、「今度は上り坂が少ないところがいいな」。日焼けした顔で笑い合った。

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