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まき割りをパワーリフティングのトレーニングに生かす笹倉伯文さん=加東市下滝野
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まき割りをパワーリフティングのトレーニングに生かす笹倉伯文さん=加東市下滝野

■ジム経営笹倉伯文さん(43)=加東市 自慢の腕力でまちづくり

 パワーリフティングの鍛錬でまきを割る。力自慢のジム生を誘い、里山整備に飛び出す。芸術大学に通い、アート制作にも取り組む。「これら全て僕の中ではつながっている。アスリートは地域資源であり、持続的な生き方をつくり出す芸術の一部なんです」。独特の視点を、熱く語る。

 競技を始めたのは高校2年生の時。実は小中学校時代は体育が苦手だった。反骨心の塊だった思春期、「とにかく何かで1番になりたい」と自分に合う種目を考え抜き、パワーリフティングを選んだ。自分で練習内容を考え、高校3年で近畿選手権で初優勝した。

 「強くなる方法? 僕は『輪』を広げていくイメージなんです」と、思考が一風変わっている。筋肉の使い方や練習時間、場所の確保、栄養の取り方などさまざまな要素を最大限生かし、つなげるという意味らしい。成果は実績が証明する。2010年に全日本選手権制覇、11年アジア選手権優勝と日本新記録、13年に再び日本王者に輝いた。

 上り詰め、後進育成に向き合ったとき「100年スパンで考えるなら、地域に根ざさないといけない」と考えた。都会から離れた兵庫県加東市のジム「雷神ファクトリー」で有力選手を育て、大会を自ら主催。さらに昨年、地域課題と向き合う北播磨県民局のビジョン委員会への参加がきっかけで、間伐材の活用に着目した。まき割りをトレーニングに取り入れ、まきストーブで暖を取る。地域の資源やエネルギー循環に、ジム生が役割を果たす構図だ。

 まき材を探す中で、加西市上万願寺町の地域活性化団体と出会い、人手不足の里山整備を手伝って間伐材を譲り受けるようになった。5月からジム生らと訪問し、住民と一緒に間伐した木を運び出す。「トレーニングでまちづくり。まさに地域に根ざす活動ですよね」

 さらにユニークなのは、こうした一連の取り組みを地域をデザインする「芸術」ととらえ、昨年合格した京都芸術大学大学院での作品制作に生かしていることだ。「トレーニングと同じで、地域を舞台に『輪』を広げる感覚。そうすれば人材、木材、経済が回り持続する」と自信に満ちた目で語る。「ほら、これって芸術でしょ」(岩崎昂志)

【記者の一言】

 ジムの隣で「風神ラーメン」も営む笹倉さん。寡黙な店主に見えたが、語り出すとよどみない。「輪を広げる」「活動はルネサンスと同じ」。哲学めいた言葉に記者の頭に「?」が何度も浮かんだが、なんだか面白そう。不思議な魅力が人心をつかんでいる。

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