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 兵庫県宝塚市立長尾中学校の柔道部顧問が生徒2人に重軽傷を負わせた事件は、顧問の被告(50)=起訴済み=が逮捕されて12日で1カ月となった。神戸新聞社の情報公開請求で、2019年度中に兵庫県内の教育委員会が把握した体罰のうち8割が、今回の事件と同じく教員が児童生徒らの面前で暴力を振るっていたことが明らかになった。このうち6割は、授業中に起きていたという。

 公開文書は、兵庫県、神戸市両教育委員会に各学校が「体罰事件」「事故報告」などとして提出した書類から抽出した。

 これによると、19年度の発生件数は計45件。関わった加害教員48人(県46人、神戸市2人)のうち、8割の38人が被告と同様に、集団の面前で体罰をしていた。「その他」の8件は個別に呼び出したり密室で指導したりする最中だったという。体育館前など、状況が分からない「不明」は2件。また面前での体罰のうち、「授業中」は6割で、「部活動中」は1割、昼休みや給食中といった「その他」が3割だった。

 加害教員は男性37人、女性11人。年代別に見ると、被告と近い40、50代が半数超を占めた。この年代は、校内暴力や体罰が社会問題化した1980~90年代に学生として過ごし、体罰経験者が多い世代とされる。最多は40代の15人で、50代は12人、20代が10人、30代が7人、60代が2人、不明が2人と続いた。

 今回の事件と同じような部活中の体罰では、姫路市の県立高校で柔道部の指導陣が練習中、複数の生徒に「死ね、殺したろか」などの暴言を吐いたり頭を踏んだりしたほか、コーチが平手打ちで鼓膜を破る重傷を負わせた。川西市立中学校でも、運動部の男性顧問が部員全員の前で生徒の胸ぐらをつかんで黒板に押しつけていた。

 専門家は「暴力で集団を統制できたと感じてしまった教員ほど、繰り返す傾向がある」と指摘する。

 体罰が発覚する経緯では、事情を聞いた保護者が学校に連絡したり、別の児童生徒が別の教員に相談したりしたケースが目立つ。加害教員自身が管理職に報告したのは、2割にとどまった。(名倉あかり)

 

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