兵庫県西宮市の夙川河口に広がる香櫨園浜で、カニの一種「ハクセンシオマネキ」が繁殖期を迎えた。雄は左右の１本どちらかに白く大きなはさみを持ち、その名のごとく「白扇」を振るかのような求愛のダンスを見せている。

　甲羅の大きさは約２センチ。砂地に直径２センチほどの巣穴を掘り、人が近づくと素早く逃げ込む。淡路島や播磨地域の浜辺にも生息し、兵庫県のレッドリストで「存続基盤がぜい弱」とするＣランクに指定されている。

　香櫨園浜は磯遊びや散歩に来る家族連れも多い。人影が途絶えると何匹かが巣穴から現れ、雄が手招きするようなダンスで雌を誘ったり、雄同士で競い合ったりする光景が見られた。求愛行動は夏いっぱい続く。（斎藤雅志）