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感染防止で今は飛ばせない「ジェット風船」。阪神タイガース応援の名物だった=2019年6月、甲子園球場
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感染防止で今は飛ばせない「ジェット風船」。阪神タイガース応援の名物だった=2019年6月、甲子園球場
風船の代わりにファンが掲げる「ジェット風船タオル」(阪神タイガース提供)
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風船の代わりにファンが掲げる「ジェット風船タオル」(阪神タイガース提供)
今年5月に発売された「ジェット風船扇子」(阪神タイガース提供)
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今年5月に発売された「ジェット風船扇子」(阪神タイガース提供)

 甲子園球場(兵庫県西宮市)でのプロ野球阪神タイガースの試合で、応援の名物になっている「ジェット風船」が、新型コロナウイルスの感染対策で禁止されている。球場いっぱいに黄色の風船が舞う光景が見られなくなってはや1年以上。神戸新聞の双方向報道「スクープラボ」に「風船メーカーへの打撃は相当だと思うが、状況を調べてほしい」との声が寄せられ、業界を取材した。(小谷千穂、井上太郎)

 ジェット風船は「ラッキーセブン」と呼ばれる七回裏の攻撃前に、阪神ファンが一斉に飛ばす。約40年前にファンの間で自然に広がったといい、球場の公式ホームページでも「観戦の醍醐味」と紹介されるほど浸透した。

 だが、何よりも飛沫が避けられるコロナ禍となり、唾液を含んだ空気を上空から四方八方にまき散らすジェット風船に居場所はなかった。神戸市看護大の岩本里織教授(公衆衛生看護学)は「普通の会話より多くの人の感染リスクにつながる」と指摘する。

 球団は感染対策の観点から、球場内やグッズ店でのジェット風船の販売を中止し、観戦中の使用自粛も呼び掛けた。風船メーカーへの影響は深刻で、どの業者も「売り上げがゼロになった」と口をそろえる。

 だが、シャープ産業(神戸市東灘区)の担当者は「他にも多くのグッズを扱っているので大きな痛手ではない」といい、風船を中心に取り扱う別の業者も「昔ながらの風船や水風船の分野で販路を広げている」と倒産や廃業の危機にまでは陥っていないようだ。

 一方、コロナ禍の収束は見通せず、ジェット風船の解禁時期は未定だ。コロナ後の社会でも飛沫への警戒感は続くとみられ、球団が風船の代わりに提案する新たな応援スタイルが、ジェット風船タオルだ。

 ジェット風船の絵がプリントされたタオルを掲げるというもので、すぐに人気商品となり、七回裏の攻撃前、スタンドには多くのタオルが揺れるように。風船のキーホルダーやぬいぐるみ、今年5月には扇子も新発売され、「かなりの売れ行き」(担当者)だという。

 だが、ファンは満足しているのか。スタンドで風船タオルを掲げて応援した大阪市の会社員(36)は「ないよりはいいけど、やっぱり一斉に飛ばす盛り上がりにはかなわない」という。

 年に数回球場を訪れる京都府の中学2年生(13)は「球場の一体感や迫力もあって、ジェット風船はわくわくした」と振り返り、「収束したらたくさん空に飛んでいる光景を見たい」と目を輝かせた。

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