ロシア軍のウクライナ侵攻から3カ月。戦闘の収束は見えず、兵庫県内では長期化を視野に避難者を支援する動きが広がっている。
侵攻の長期化を覚悟し、神戸市に避難しているナタリア・カプスティンさん(35)は24日から、通訳機を片手に市内のホームセンターでパートとして働き始めた。国際協力団体「PHD協会」(同市長田区)が仲介した。就労は県内でも珍しい。
ナタリアさんはリビウから避難した。街中で爆発音が鳴っていた。長女(12)の命を守るため、4月16日に妹が暮らす神戸へ。夫と両親は母国に残った。
妹宅から近く、交通が便利な民間アパートで長女と2人暮らしを開始。食費や家具代を賄うための県の支援金は、原則、公営住宅に住まないと受け取れず、生活は苦しくなった。
「食料に困っている。できれば働きたい」。今月11日、PHD協会にナタリアさんの妹から助けを求める電話があった。ナタリアさんの在留資格は短期滞在から、就労が可能な「特定活動」に切り替わっていた。坂西卓郎事務局長は「行政の支援が間に合っていない」と就労支援に動いた。
紹介したのがアグロガーデン神戸駒ケ林店(同区)。阪神・淡路大震災の後、長田の復興事業の一環で店を開業し、地域貢献活動を続けており、ウクライナ支援にも意欲的だった。14日に面談し、すぐにパートの契約を交わした。
朝8時、緊張した表情で出勤したナタリアさんは、園芸コーナーの水やりを教わった。従業員から「英語は分かる?」「なんでも聞いてね」と声を掛けられ、通訳機でコミュニケーションを取った。
ナタリアさんは「花の手入れは元々趣味なので明るい気持ちで働ける。戦争が早く終わってほしい」と祈った。(小谷千穂)
【特集ページ】ウクライナ侵攻
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