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シリーズ16 呼吸器系の病気

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70代男性が治療を受ける前の肺の画像(上)と治療後の画像。治療後は右肺の白い影が消えている(明石医療センター提供) 治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部
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70代男性が治療を受ける前の肺の画像(上)と治療後の画像。治療後は右肺の白い影が消えている(明石医療センター提供)

治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部

  • 70代男性が治療を受ける前の肺の画像(上)と治療後の画像。治療後は右肺の白い影が消えている(明石医療センター提供)
  • 治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部

70代男性が治療を受ける前の肺の画像(上)と治療後の画像。治療後は右肺の白い影が消えている(明石医療センター提供) 治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部

70代男性が治療を受ける前の肺の画像(上)と治療後の画像。治療後は右肺の白い影が消えている(明石医療センター提供)

治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部

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  • 治療に使われるペニシリン系抗菌薬の一部

病原体特定し抗菌薬で治療
 風邪と似た初期症状 受診遅れ重症化も

 肺には酸素を取り込み、二酸化炭素を外に出すというガス交換の役割がある。その肺に細菌やウイルスなどの病原体が入り、炎症を起こすのが肺炎だ。

 原因菌を死滅させる抗菌薬は発達してきたが、肺炎は国内で今も年間に10万人以上が死亡し、がんや心疾患、脳血管疾患に続き死因の第4位を占める。特に高齢者では症状が似ている風邪と間違えたり、せき、たんを「年のせいかな」と思い込んだりして受診が遅くなると、重症化する危険性が高くなるため注意が必要だ。

続く高熱

 兵庫県明石市の加納浩さん(76)=仮名=は今年5月初め、気分が悪くなった。40度近い熱が数日たっても下がらず、「風邪かな」と思っていたが、吐き気で食事も取れない状態に悪化。かかりつけ医を受診すると肺炎の疑いがあるとされ、明石医療センター(兵庫県明石市大久保町)へ緊急入院となった。

 肺炎は、一般的な初期症状が熱とせき、たんで、重症化すると胸の痛みなども出る。治療に当たった同センター呼吸器内科部長の大西尚さん(49)によると、加納さんは高熱や寒気が続いていたため、肺炎の疑いが高いと判断し、胸部エックス線撮影をした。

 その結果、肺の右側に炎症が起きていることを示す白い影を発見。病原体が侵入すると増える血液中の白血球数が正常値と比べて2倍以上で、炎症で呼吸が不十分になり血中の酸素濃度も正常値より低かったことなどから、肺炎と断定した。

 治療で重要なのは、病原体の種類を特定し、それに合った抗菌薬を投与すること。肺炎の病原体には、肺炎球菌やインフルエンザ菌、細菌とウイルスの中間くらいの大きさの微生物「マイコプラズマ」など多くの種類がある。これらに対し、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系など、さまざまな抗菌薬が開発され、治療法が確立されているという。

 病原体特定のため今回使われたのが、尿を使った抗原検査のキットだ。尿を綿棒に付けて薬品を付着させると、肺炎球菌があれば15分ほどで陽性として赤い印が表示される。加納さんも陽性の結果が出た。細菌性の肺炎の原因としては、肺炎球菌が最も多いという。

 治療薬として使ったのはペニシリン系の抗菌薬で、肺炎球菌への効果が高いことから選ばれた。入院の初日から点滴で1日4回に分けて投与し、6日間続けた。血中の酸素濃度も低下していたため、酸素吸入も3日間行った。

 治療の結果、39度あった熱は入院翌日には37度台に低下。抗菌薬が効いていることが分かった。熱が下がったこともあり、同日から食欲はほぼ回復した。エックス線画像でも白い影がなくなり、血中の白血球数や酸素濃度などもほぼ通常に近い値に戻ったことから、入院9日目に退院した。その後は「高い熱が出るようなこともなく、服薬や通院もしていない」(加納さん)といい、通常の生活に戻った形だ。

体力低下

 加納さんは、これまで風邪をひいても鼻水が出る程度で、悪化したことはなかった。たばこも吸わず、酒もほとんど飲まない。加齢に伴い、血糖値や血圧がやや高めなくらいで、体調が急変した理由も、肺炎になる心当たりもないという。

 「子どもの頃に『肺炎は死に至る病で怖い』と聞かされていたので、自分がなるなんて考えられず、びっくりした」

 肺炎の発症は体力が低下し、病原体に感染しやすくなっていたことが考えられる。加納さんは病原体を未然に防ぐため、丁寧なうがいと手洗いを欠かさなくなった。人混みも避け、雨にぬれないように気を使う。1日1万歩を目安に、なるべく歩くようにしている。

 「インフルエンザの予防接種もこれまでは受けていなかったが、次は受けてみようかな」。また症状が出れば、今度はもう“たかが風邪”とは思えない。

(金井恒幸)

◆メモ

呼吸器

 呼吸器のうち気道は、空気の通り道の総称。喉には食べ物を食道に送り込むほか、鼻などから入った空気を、肺へのパイプ役を担う気管に送る働きがある。気管はさらに気管支へと枝分かれし、肺の中へのびている。肺は葉っぱのような形で、右肺と左肺に分かれる。肺の中の気管支の先端には肺胞という袋状の組織があり、表面にある血管を通じて、酸素と二酸化炭素のガス交換をする

2011/7/2
 

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