ひょうご経済プラスTOP 経済 国内初、電子ビーム方式金属3Dプリンタ開発 多田電機

経済

国内初、電子ビーム方式金属3Dプリンタ開発 多田電機

2019.12.13
  • 印刷
多田電機が開発した電子ビーム方式の金属3Dプリンター=尼崎市塚口本町8

多田電機が開発した電子ビーム方式の金属3Dプリンター=尼崎市塚口本町8

 産業装置メーカーの多田電機(兵庫県尼崎市)は、電子ビームを使って複雑な形状の部品をつくる金属3Dプリンターを開発した。同様の方式としては国内メーカーで初めて。従来装置に比べて加工速度を3倍に高め、ビームの発生源に当たる陰極の寿命を10倍に延ばした。親会社の三菱電機が販売を担い、当面は工業試験場や大学に納入する。将来的には航空機や自動車、医療分野などへの拡販を狙う。(大島光貴)

 新製品は政府主導の研究開発プロジェクトで、電子ビーム加工機の世界トップメーカーである多田電機が開発を担当した。真空中で層状に敷き詰めた金属粉末を、高速度の電子ビームで1層ずつ溶かす工程を繰り返しながら造形物をつくるのが特徴。幅・奥行き25センチ、高さ35センチの造形が可能だ。

 電源容量は6キロワット、加工速度は毎時250ccと、それぞれ従来装置の1・5倍と3倍に引き上げた。特殊な陰極で寿命を従来比10倍の千時間に拡大。これまでメーカーが指定していた材料や形、加工速度などを需要家が自由に選べるようにもした。

 1台9800万円(税別)で、9月に発売した。年間10台の販売を目指す。多田電機の宮田淳二常務(63)は「ようやく日本製の装置ができた。研究機関と用途開発を進めつつ、市場の声を聞いてさらに改良を重ねたい」と話す。今年5月、兵庫県立大内の金属新素材研究センター(姫路市)に初号機を納入。1、2年以内に世界最大級の造形が可能な装置も製品化したい考えだ。

 金属3Dプリンターは2010年ごろから欧米を中心に需要が急増。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、17年に約1200億円だった装置の市場が30年には5倍に拡大すると予測する。三菱電機によると、速さに優れるレーザー方式の装置は他の国内企業も製造するが、加工精度の高い電子ビーム方式は北欧の1社しか手掛けていなかった。