経済
羽子板もハッシュタグの時代 インスタで注目、遠方からも注文
女児が初めての正月を迎えるのを祝う縁起物として知られる羽子板。神戸・三宮で創業81年の人形専門店「福順号」では、色鮮やかなくす玉をあしらった「飾り羽子板」の注文が遠方からも入っている。従来は晴れ着姿の美人像が主流のデザインだが、同店が昨年、写真共有アプリ「インスタグラム」にこの新デザインを投稿すると注目を浴び、反響が広がっている。
飾り羽子板は形が末広がりで縁起が良く、邪気を「はね」のけるなどの意味もかけて贈られてきた。ただ、近年はその存在を知らない世代も増えつつあり、3代目店主の江戸唐音さん(41)が「日本の伝統を残せないか」と思案。そんな中で目に留まったのが、仕入れ先の問屋に並ぶくす玉の飾り羽子板だった。
見慣れないデザインだったが、美人像とくす玉の二つの絵柄をインスタグラムに投稿すると「くす玉の方に問い合わせが相次いだ」。東京や愛知などからも注文が入り、売れ行きは徐々に伸びているという。
「マンションなどで飾っても違和感がないのが受けているのでは」と江戸さん。「伝統を守るには変化も必要」と手応えに笑顔を見せている。(中村有沙)