経済
スマートシューズ開発中 アシックス、年内にも発売
スポーツ用品大手のアシックス(神戸市中央区)は24日、米・ラスベガスの電子機器見本市に出展したセンサー付きランニングシューズ「スマートシューズ」を、東京都内で報道関係者に披露した。履いて走るだけで走り方の特徴を分析し、最適なトレーニング方法などを提案する。同社は近年、ITやビッグデータを活用するデジタル分野のサービス開発に力を入れており、ランナーとの接点を増やしてファン拡大を狙う。(中務庸子)
スマートシューズは、中敷きの中央部に小型のセンサーが組み込まれており、履いて走ると歩幅やピッチなどを自動で計測。結果を基に、独自の方法でキック力や着地の安全性などを分析する。利用者は専用のアプリを通して、スマートフォンなどで結果を確認でき、トレーニング方法、シューズの選び方などの提案も受けられる。早ければ今年中の発売を計画している。
同社がデジタル分野を強化し始めたのは2016年。衛星利用測位システム(GPS)を使って走行距離などを記録できるアプリ「ランキーパー」を展開する米国企業を買収。投資会社アシックスベンチャーズも設立した。スマートシューズのセンサーは同社の出資先企業が手がけており、昨年から成果が表れている。
身に着けるだけで心拍数や走行距離を測れるとして人気が高い「スマートウオッチ」の開発も進める。昨年5月「Gショック」ブランドのカシオ計算機(東京)と提携した。シューズ開発で培った知見やランキーパーで蓄積した情報などを基に計測結果を分析し、先行する他社製品との差別化を図る。年内のサービス開始を目指す。
これらの計測・分析サービスで得た情報は今後、シューズなどの製品開発にも活用する計画だ。
昨年11月には、北米のマラソン大会のレース登録サイト事業をカナダの企業から約30億円で買収するなど、ランナーのトータルサポートも視野に入れる。同サイトは利用者の半数以上が女性で約3割が34歳以下といい、これまで獲得できていなかった顧客層へのPRにもつながる。
同社は「将来的には各サービスや電子商取引サイトとの連動を図り、幅広い顧客層にアプローチしていきたい」としている。