経済
リニア用トンネル工事の掘削機 JR東海が公開
JR東海は29日、2027年の先行開業を目指すリニア中央新幹線で、リニア車両が走行するトンネルを掘るシールドマシン(掘削機)を、三菱重工業神戸造船所(神戸市兵庫区)で公開した。掘削機を搬入する東京都品川区の「北品川非常口」を発進地点として、21年春ごろの掘削開始を予定している。
リニア計画は東京・品川-名古屋間の約286キロが27年に開業予定。その後、早ければ37年に大阪市内を終点とする延伸を想定している。都市部のトンネル工事では、掘削機を油圧ジャッキで進め、前方の土砂を削り取っていくシールド工法が用いられる。
掘削機は円筒状で直径約14メートル、長さ約14・5メートル。掘削部の先端に約1100個の細かな刃が装着され、回転して土砂などを削り、1日に約20メートル掘り進める。三菱重工子会社などが統合し、同造船所に拠点を持つJIMテクノロジー(川崎市)が製造。今回、固い地盤向けとコンクリート壁向けで使う刃を遠隔操作で交換できる装置を導入した。
北品川非常口では、地下約80メートルまで掘り下げた坑道の底に掘削機が入り、品川駅から等々力非常口(川崎市)までの約9・2キロでトンネルを掘り進める。削った土はコンベヤーで後方に運び、掘削機の後方に取り付ける設備でトンネルの壁を築いていく。
この日は掘削部を含む約4・8メートルが公開され、掘削部が回転する様子が披露された。JR東海中央新幹線建設部の吉岡直行担当部長は「リニアで都市部の地下を掘る初めての工事になる。安全や環境保全を心掛け、万全の準備で臨みたい」と話した。(横田良平)