経済
「幸福度を高め生産性向上を」慶応大・前野教授が講演 関西財界セミナー
「関西財界セミナー」(関西経済同友会、関西経済連合会主催)が6日、京都市で開幕した。米中の覇権争いや新型肺炎の広がりなど不安定さを増す世界情勢を受け、危機に対する迅速な対応やリスク分散の重要性をあらためて確認。2025年の大阪・関西万博開催などを控え、デジタルやスポーツ分野における経済活性化策なども議論した。
基調講演では、幸福学を研究する慶応大大学院の前野隆司教授が「幸せな職場の経営学」と題して話した。要旨は次の通り。
幸せな社員は不幸な人に比べ、創造性が3倍、生産性が30%高いとの研究結果がある。欠勤や離職率も低く、7~10年長生きする。目の前のもうけだけを考えてブラック企業になると社員が不幸になり、利益の出ない体質になる。社員を幸せにする経営を目指さない理由はない。
幸せとは「やってみよう」と思える状態だ。社員がやりがいを持てるように仕事を分けるのが経営者のすべきこと。ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を廃止し権限委譲を進めたり、改善提案が生まれる生産方式に変えたりし、幸福度が高まった例がある。感謝し合い前向きな考え方を持てて、個性を生かして働ける環境づくりも大切だ。
もともと日本企業は人間味のある経営で栄えてきたがバブル崩壊やリーマン・ショック後から合理主義に走り、苦しんでいる。家族主義経営を取り戻すべきではないか。(大島光貴)