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全但バス、畜産に挑戦 牧場に但馬牛300頭 直売、レストランも視野

2020.02.11
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但馬牛を肥育する美方ファームの今後敏成工場長(右)と村上宣人代表=兵庫県香美町村岡区萩山

但馬牛を肥育する美方ファームの今後敏成工場長(右)と村上宣人代表=兵庫県香美町村岡区萩山

 人口減や少子高齢化でバス事業者の経営環境が厳しさを増す中、全但バス(兵庫県養父市)が、但馬地域の地場産業「但馬牛」の繁殖・肥育に取り組んでいる。現在、兵庫県香美町の牧場で300頭を超える黒毛和牛を育てる。将来的には直売店やレストランの運営も視野に入れており、関係者は「新たな収益源として事業を成長させたい」と意気込む。(三島大一郎)

 牧場を運営するのは、全但バスグループの美方ファーム(香美町)。同ファームは2011年に設立されたが経営に行き詰まり、数年前、銀行を通じて神姫バス(姫路市)に事業譲渡の相談があった。18年4月、神姫バスの関連会社である全但バスグループが、同ファームの前代表と株式譲渡契約を結んだ。

 全但バスが農業に携わるのは初めて。畑違いの畜産に参入した理由について、同ファーム代表を務める全但バスの村上宣人常務は「地域に根ざす企業として地場産業を守るとともに、新たな事業に挑戦しようとの思いがあった」と語る。

 同町村岡区の小高い山の上にある美方ファームでは、設立当初から働く牧場長の今後敏成さん(31)ら男女7人が勤務。約320頭の黒毛和牛を育て、繁殖も行う。毎月5頭前後を地元顧客に販売したり、枝肉の競りに出したりしている。

 全但バスは今後、神姫バスと協力し、但馬牛の直売やレストランでの提供などを検討する。このため、現在7棟ある牛舎を増築し、飼育頭数を400頭程度まで増やす計画という。

 全但バスがバス事業を展開する但馬地域では過疎化や高齢化が進み、乗客の減少が続く。慢性的な運転士不足も大きな課題だ。「路線バス事業の回復を期待するのは正直難しい」と村上常務。「ブランド力のある但馬牛の6次産業化を進め、安定した利益確保を図りたい」と力を込めた。

 今後さんは「肥育した牛のほとんどが『神戸ビーフ』の基準を満たしている。独特の風味の良さ、脂の甘さがある但馬牛をぜひ味わってほしい」と話す。

 同ファーム産の牛肉は、道の駅但馬のまほろば(朝来市)で購入できる。