経済
途上国進出時の心得、一冊に 関西福祉大教授が執筆
海外赴任者や企業の担当者向けに、メンタルヘルスから感染症対策まで幅広くまとめた本「『途上国』進出の処方箋」(経団連出版)が発行された。著者は関西福祉大(赤穂市)の勝田吉彰教授。企業進出が相次ぎ“最後のフロンティア”と称されたミャンマーを中心に取り上げ、現地で働く日本人を8年間調査した生の声などを紹介。発展度合いに応じて変化していく課題を浮き彫りにしている。(吹田 仲)
勝田教授は外務省医務官として計12年間、スーダンやフランス、セネガル、中国で海外生活を送った。2006年近畿医療福祉大(現神戸医療福祉大)教授となり、12年から現職。今回の本は、外務省医務官時代の経験を基に、進出企業の少ない発展途上国に人材を送り出す際、気をつけ、準備すべきことを伝えようと執筆したという。
本は7章構成。発展途上国で暮らす上でのストレスのあれこれ、感染症、日常生活でのリスク、本社のフォロー法などを幅広くまとめている。
紙幅を割いたミャンマーでは、12年に調査を開始。同国を年に2回程度訪れ、実際に住む日本人たちからアンケートを取り続けた。食住や生活環境、医療事情、現地の人との関係などについて、生の声を時系列に並べ、さまざまな課題が時期ごとに移り変わっていくことも伝える。
例えばストレスでは、最初期は社会インフラの不備などが、その後は現地人の気質などが要因に。5年ほどたつと、医療インフラや現地日本人同士のあつれきなどを挙げる人が目立つ。また感染症の章では、経路や特徴などを紹介。防ぎ方も「カットフルーツを買わない」「虫刺されを防ぐ白い服を着る」「事前に狂犬病ワクチンを接種する」など、具体的に助言する。
18あるコラムでは、「ほとんど届かない郵便」「現地での接待事情」など、経験に基づく役立つ情報を紹介している。
勝田教授は「国際化が進み、これからも新たな国への進出が増えるだろう。だが今まで、発展途上国進出に必要なノウハウが少なかった。ぜひこの本を役立ててほしい」と話している。
206ページ、1980円。経団連出版TEL03・6741・0043



















