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神明HD、食品ロス対策で新会社 過剰在庫買い取り再活用

2020.03.04
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神戸新聞NEXT

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 本来は食べられる食品が捨てられる「食品ロス」の課題に対し、コメ卸国内最大手の神明ホールディングス(HD、神戸市中央区)が、食品メーカーが過剰に抱えた在庫を買い取って飲食業者やスーパーなどに販売する再利用(リユース)事業に参入することが分かった。4日、大阪市西区に新会社「神明MOTT(モット)」を設立する。資本金は1千万円で、神明HDが全額出資する。

 農林水産省の推計では、2016年度に国内で事業活動によって発生する食品ロスは約352万トンに上り、約44%は食品メーカーや卸売業からの発生分が占めている。

 神明HDによると、相手先ブランドによる生産(OEM)を手掛ける食品商社やメーカーなどは、数カ月先の受注が立ち消えることがあり、賞味期限前の食品在庫が発生。各社は費用を掛けて焼却廃棄している。中小の流通業者を通じて外食や中食業者に出すケースもあるが、複数業者を経ることが多いため製造元が最終消費先を確認できず、管理上のリスクを抱える。

 新会社は、こうした在庫や、肉の加工で発生した端切れなども調達。飲食や弁当業者、スーパーに再販売する。将来的には、無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」への寄付など社会貢献にもつなげる狙い。賞味期限が迫り、食品として流通が難しい場合は飼料や肥料、成分を抽出してサプリメントなどとしての加工販売も計画する。

 新会社の21年3月期売上高は7億7千万円と見込む。神明HDは「食品ロスの解決に努めるとともに、流通の上流から下流までを透明化し、商社やメーカーのリスク回避にも貢献していきたい」としている。(山路 進)