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瀬戸内海の栄養不足解消へ エビやナマコの種苗生産 兵庫県

2020.03.10
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 兵庫県は2020年度、瀬戸内海の栄養不足を解消するため、エビやナマコの種苗(稚子)生産に乗り出す。それぞれの資源量の回復とともに、海中の有機物を稚子に分解させて、魚介の栄養分となる窒素の濃度を高める狙い。3年後をめどに本格放流する方針で、20年度は稚子の生産技術開発に着手する。(山路 進)

 県はナマコやエビの稚子を生産した上で、23年度にも県内瀬戸内海での放流の事業化を目指す。海底にたまった魚介のふん、死骸などの有機物を分解し、「栄養塩」の一つである窒素を発生させ、海中で不足する栄養を取り戻す。

 県の外郭団体「ひょうご豊かな海づくり協会」に、稚子の生産技術の開発を委託する。有機物の分解能力が高いとみられるアシアカエビ、ナマコの2魚種を、同協会の津名事業場(淡路市)で増殖。採卵などを進めて、稚子を効率的に生産できるようにする。20年度は当初予算案に約620万円を計上した。それぞれ100万匹、5万匹を放流する。その後、漁業者団体に事業を引き継ぐという。

 県は、瀬戸内海で高度成長期に深刻化した海水の汚濁を改善するため、赤潮の原因となる栄養塩の濃度に上限値を設けた。しかし、栄養塩が減りすぎたことで海中のプランクトンや、それらを食べるイカナゴも減少。県水産課によると、県内の瀬戸内海ではイカナゴだけでなく、エビやカレイの漁獲量も過去30年で7~5割減少しているという。

 これを受けて県は昨年、独自に栄養塩濃度の下限値を設定。下水処理場の排水基準も緩和し、陸上からの栄養塩の供給量を増やしている。

 県は稚子の放流を、水中で栄養塩を増やす取り組みとしても位置づけており、水陸両面から豊かな海の再生を目指す。