経済
22年開設予定の狩猟者育成施設 西日本最大級の射撃場に
兵庫県は、農作物などの鳥獣害の対策強化に向け、同県三木市で2022年秋にオープン予定の狩猟者育成施設の概要を明らかにした。射撃場などを備えて狩猟者を養成するとともに、クレー・ライフル射撃の競技場としても活用する。完成すれば、西日本最大級の射撃場になるという。(山路 進)
新施設は「県立総合射撃場(仮称)」で、同市吉川町福井、上荒川にまたがる県有林78・9ヘクタールで計画。狩猟免許所持者や取得希望者らを受け入れてハンターを養成するほか、競技場として選手らに開放する。総事業費は約25億円で、20年度は当初予算に約17億4400万円を計上し、用地造成などを進める。
養成施設としては、箱わななどの設置訓練場や研修棟を備え、狩猟者の射撃練習や講習会などが可能。実技と研修機能を兼ねる施設は国内初という。射撃場は、標的が前後と左右に飛ぶクレー用計4面と、ライフルと散弾銃、空気銃用の計3面を設ける。各競技の国際大会も可能な設備にする。
県内の鳥獣害による農林業被害額は18年度に約5億7900万円と、この5年は6億円前後で高止まりしている。近年ではほかに、水鳥のカワウにアユなどが食べられる被害も目立ち、県内で約3億6千万円に上るとの試算もある。警戒心が強いカワウを撃つ空気銃の狩猟技術向上も期待できるという。
県内には、神戸市須磨区と上郡町に民間射撃場があるが、いずれも小規模。県鳥獣対策課によると、県内の狩猟免許所持者らが射撃場を利用するのは年間延べ1万人で、うち県内の施設を使うのは半数にとどまるという。県は国際大会も含めて試合を誘致し、施設の利用収入を活用して狩猟者を育成する計画だ。