経済
「神戸製鉄所」半世紀で幕 震災で高炉停止、復興の象徴 神鋼、加古川製鉄所傘下に
神戸製鋼所は4月1日付で、神戸製鉄所(神戸市灘区)を「神戸線条工場」に改称する。加古川製鉄所(加古川市)の下部組織となり、品質保証や経理などの間接部門を加古川に集約。1970年から半世紀続いた神戸製鉄所の名称が消える。
神鋼は、鉄鉱石と石炭から鋼を作る体制を整えるため、高炉を備えた前身の灘浜工場を59年に開設。61年に神戸工場に改称し、加古川でも高炉を稼働させた70年に神戸製鉄所に変更した。
95年の阪神・淡路大震災では唯一稼働していた第3号高炉が緊急停止したが、社内外の関係者が力を合わせて約2カ月半で火入れまでこぎ着け、被災地復興の象徴とされた。しかし、鋼材の需要低迷や中国勢の増産を背景に競争力の強化を図るため、高炉を廃止し鋼の塊を作るまでの上工程を加古川に一本化した。
現在は、加古川から運んできた半製品を圧延し、世界シェア50%を握る自動車の弁ばね用線材をはじめ、線材や棒鋼を生産する。従業員数は685人(19年3月時点)。107万平方メートルの敷地内では石炭火力発電所2基が稼働し、21、22年度の営業運転を目指して2基を建設している。(大島光貴)