経済
靴下編み機でマスク生産 尼崎の商社がプログラム開発
新型コロナウイルスの感染拡大で全国的にマスク不足が続く中、兵庫県尼崎市の繊維機械商社が、イタリアメーカーの靴下用コンピューター編み機を使ってマスクを生産するプログラムを開発した。1枚あたり1~2分の短時間で製造でき、全て無縫製のため省力化も実現。このプログラムを活用し、政府が配布する布マスクの生産を手掛ける動きもあり、画期的な転用として注目されている。
開発したのは、尼崎市西川の「ユニオン工業」。世界的に有名なイタリアの靴下編み機メーカー「ロナティ社」のアジア地区総代理店を務める。
研究は3月上旬から着手。汎用(はんよう)性の高いコンピューター編み機の特性を生かし、技術者の中谷大輔さん(44)が靴下製造のプログラムを組み替えて開発した。
マスクは、耳にかける両端のループも一体的に作り上げる。ナイロン素材ならわずか1分ほどでできるといい、手間のかかる縫製処理も必要ない。口の部分にガーゼを挟む空洞があり、繰り返し使用できる。
この新たな転用技術は早速、日の目を見ることに。日本一の靴下生産量を誇る奈良県の靴下工業協同組合が、国の関係省庁でつくる「マスクチーム」に製造を申請。同時期に、ユニオン工業が同組合所属メーカーで開発プログラムによるマスク試作を重ねていたことから、プログラムの採用が決まった。国からゴーサインが出れば、5月中に最低10万枚を生産する予定という。
ユニオン工業は同組合の所属メーカー以外にも、ロナティ社の編み機を導入している工場にプログラムを無償で提供する。永田亮司副社長(55)は「社会は今、道なき道を進んでいる状態。この技術が少しでも人助けにつながればうれしい」と話している。(風斗雅博)
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