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外出自粛のストレス発散へ 塗り絵サービス盛況

2020.04.17
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阪神電気鉄道がウェブサイトで公開する「ぬりえ旅 阪神」。無料で印刷できる

阪神電気鉄道がウェブサイトで公開する「ぬりえ旅 阪神」。無料で印刷できる

満田知美兵庫大准教授にポイントを聞き、記者が試したローソンの塗り絵

満田知美兵庫大准教授にポイントを聞き、記者が試したローソンの塗り絵

兵庫大学の満田知美准教授が指導する一般向け「おとなの塗り絵教室」で、受講生が手掛けた作品=加古川市平岡町新在家

兵庫大学の満田知美准教授が指導する一般向け「おとなの塗り絵教室」で、受講生が手掛けた作品=加古川市平岡町新在家

ナガサワ文具センター本店が設けた塗り絵関連のコーナー。さまざまな種類の色鉛筆などが並ぶ=神戸市中央区三宮町1

ナガサワ文具センター本店が設けた塗り絵関連のコーナー。さまざまな種類の色鉛筆などが並ぶ=神戸市中央区三宮町1

 新型コロナウイルス感染症で外出自粛が長引く中、兵庫県内の企業などが塗り絵に関連する商品の販売やサービスに力を入れている。「大人も子どもも自分のペースでストレスを発散できる」ようにと、神戸の文具店は色鉛筆の品ぞろえを工夫。鉄道会社は沿線風景、大手コンビニはキャラクター絵柄をそれぞれ無料で提供し、盛況という。

 ナガサワ文具センター本店(神戸市中央区)では3月下旬から、店頭に塗り絵ブックや色鉛筆のコーナーを設けている。鉛筆は国内外のさまざまな製品があり、描き比べて気に入ったものに投票してもらう。

■自分と向き合う

 数年前、大人向けの塗り絵が流行して関連アイテムが増えた。今回の事態を受け、「あらためて自分と向き合いたい」と、幅広い世代が求めるという。ウェブサイトでも色鉛筆やカラーペンを販売している。

 阪神電気鉄道は、駅などで沿線風景の塗り絵「ぬりえ旅 阪神」を無料配布し、「神戸三宮」「元町」「尼崎」「西宮」などをシリーズ化している。2017年からのサービスで、現地の紹介文や塗り方のアドバイスが付く。一部の絵はウェブサイトから印刷でき、政府が緊急事態宣言を出した7日以降、閲覧数が増えているとする。

 ローソンは3月中旬から4月13日まで、兵庫を含む全国約1万4千店のコピー機で、塗り絵を無料で印刷できるサービスを展開した。子どもたちに楽しんでもらおうと、リラックマとからあげクン、ドラえもんを用意し、約120万枚の利用があった。14日からは、ポケットモンスターで続けており、「予想以上の反響。オトナ女子のファンも多い」とする。

 人気ぶりについて、兵庫大学(加古川市)で一般向けの塗り絵教室を開く満田知美准教授=日本画技法=は「初心者も上級者も楽しめ、リラックスできる。描いたときの心理が表れる絵日記的要素もあり、残しておいて見返すのも面白いのでは」と話す。

■絵が苦手でも

 「塗り絵? 絵は苦手で…」という声は多い。「そういう人ほど、こつをつかむと『あれ、楽しい』と変わりがち」という満田知美さんに、色鉛筆の使い方を聞いた。

 満田さんによると、究極的には黄、赤、青の3色を混ぜればあらゆる色を表現できる。ただ、鉛筆の混色には限界があり、12色くらいあれば描きやすい。

 塗り方は、あえて言うなら黄色から。黄は一番弱いが、料理で言えばだしのような存在。あらゆる色のベースになり、他の色をつなぐ。次に、近い色の黄緑やオレンジなど。さらに緑、青、紫と重ねればグラデーションができる。黒は輪郭や陰にとどめ、暗い部分は黒以外の複数の色を重ねて出す。白は塗らず、紙の色でいい。

 風景は手前はくっきり、遠くはぼやかす。繊維は縦横に細かくギザギサと。筆圧やスピードで表現に変化を付ける。満田さんは「立体感や季節感、気持ちなどを表現できる。描きたいテーマについて勉強すれば、楽しみが深まる」と結んだ。(佐伯竜一)

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