ひょうご経済プラスTOP 経済 「自治体お墨付き」認定農業者、3年連続減 新規上回る離農ペース

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「自治体お墨付き」認定農業者、3年連続減 新規上回る離農ペース

2020.05.19
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神戸新聞NEXT

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 農業の意欲的な担い手として自治体がお墨付きを与える「認定農業者」が、兵庫県内で3年続けて減少している。高齢化による急速な離農のペースに、新たな認定農家の数が追い付いていない。後継者不足も重なって生産者は減り、耕作放棄地は拡大。食料供給にとどまらず、農業が廃れれば地域の存続も危ぶまれる状況だ。(山路 進)

 国が5年に1度実施する農林業センサスによると、県内の2015年の農業就業人口は約5万7千人と、20年でほぼ半減した。平均年齢は68・9歳と8・7歳上昇。全国平均に比べて2・5歳高かった。

■7割が兼業

 収入の多くを農業以外で賄う「第2種兼業農家」は県内の農業就業人口の約7割と全国平均より1割以上高い。自営業やサラリーマンなどを兼ねる農家ほど、次の世代が都市部に出るケースが多く、後継者難に陥りやすいという。

 そうした多くの農地の農業を担うのが認定農業者。効率的な農業で他産業並みの収入を得る経営体(個人や組織)であることを市町などが認定し、5年ごとに更新する。

 県によると、個人と法人を合わせた県内の18年度の認定農業者は計2453で、内訳は個人が2053、法人は400。

 個人は16年度から3年続けて減っている。高齢化で認定を更新できない農家が新たな認定農家の数を上回っている。一方、法人は年々増加している。大規模な個人農家や農作業を共同化する集落が経営を拡大する上で税制優遇や補助金が受けられる法人に衣替えしている。

■農地どうする

 農業の維持拡大で課題の一つとなっているのが、農地の所有や利用の権利。代々の農地を守ることが当然とされてきたが、「収入も少なく負担になる農地は継がせたくない」と考える農家が増えている。

 農地が次世代に受け継がれず、耕作されなくなった県内の農地は15年に6908ヘクタールと、過去20年間で約2・6倍に拡大した。県は耕作の継続が難しい農地を認定農業者に引き継いでもらおうとするが、18年度の委託面積は1万7238ヘクタールと、目標(3万1千ヘクタール)の56%どまり。担い手からは「今の面積が限界。さらに引き受けるのは難しい」との声が上がっている。

 耕作放棄地での作業も担う認定農業者の減少は、地域農業の維持、発展に大きな影を落とす恐れがあり、新たな担い手の登場が待たれる。